最近SNSやニュースなどで「人間関係リセット症候群」というキーワードを耳にした方が多いのではないでしょうか?
当事者からすれば「ついつい人間関係をリセットしてしまう」「どうしても関係を切ってしまう」と思う一方、相手側は「一体なぜ?」「何か傷つけるようなことをしたかな?」というように謎や疑問だけが残ってしまいます。
今回は、人間関係リセット症候群が起こる原因を紹介!さらに具体的な解決策や他者との付き合い方にも触れていきます。

人間関係リセット症候群とは?

人間関係リセット症候群とは、ゲームのリセットボタンを押すようなごとく、人間関係そのものをリセットしてしまう心理状態のこと!例えばスマートフォンに登録されている連絡先をすべて削除したり、今の人間関係に嫌気がさし住む場所を変えてしまったりというような行動があります。
その他にも、人間関係リセット症候群の行動パターンは人によってさまざまです。
【人間関係リセット症候群の人の行動パターン】
- 連絡先をすべて消したくなる
- 電話番号を変える
- SNSアカウントを消す/作り直す
- 学校やサークル、部活などの集団から離れたくなる
- リセットを理由に職場や住む場所を変える
症候群と付きますが、正式な病名ではありません。社会とのつながりをリセットしてしまう造語として、SNSに拡散されました。
人間関係リセット症候群の人は、人間関係をすべて切りたくなるそう
友達と楽しく過ごすのが好きな僕には、ちょっと信じられない
突発的に人間関係をリセットしたくなる気持ち分かるかも
どうして…???
・・・
多くは語らず
単純に人間関係が嫌になった?人間関係をリセットする理由

人間関係リセット症候群の特徴を聞くと、「嫌いな人がいたのではないか?」「友達との関係がこじれたのではないか?」と思われがちでしょう。
しかし、そんな単純な理由ではないそうです。人によっては、「そんなことで?」と思うような理由や事例も見受けられます。

人との関わりが苦手

人間関係をリセットしてしまう人には、人との関わりでストレスを感じているケースがよく挙げられます。
例えば友達と一緒に遊んでいたり、グループで飲み会をしていたりと楽しそうなシチュエーションであっても、人との関わりでストレスを感じやすい人は、「もう帰りたい」「一緒にいると疲れる」というネガティブ思考に陥りやすいです。
無理して付き合い続けていた結果、ある限界に到達しすべての人間関係を切ってしまうことも。
人との関わりで気疲れしてしまう方は、突発的に人間関係をリセットしてしまうのかもしれません。
今日は楽しもうぜ~~~!!
宴だ宴だ~~~
1日中遊ぶぞーーーー
楽しもう。
(ほんとは1人で過ごしたかったのに・・・)
自分を演じている

普段の自分を押し殺して演じている方は、人間関係をリセットしてしまう可能性があります。
「友だちや恋人の前では、明るい人間でいよう」と無理していることはありませんか?
確かに場を和ませたり、心の底から楽しんでいたりすれば、明るいキャラでも問題ありません。
しかし、辛いことや悩み事を抱えた状態でも、何事もなかったように明るく振舞ってしまうと、途中で心が疲れてしまいます。
人から嫌われるの恐れて本音が言えない

本音が言えない人は、ストレスを感じやすく人間関係をリセットしてしまう傾向にあります。
「人から嫌われたくない」「今の人間関係を崩したくない」という思いから、本音を言い出せないのは誰でもあることでしょう。
しかし、言いたいことが言えず我慢しすぎるのはおすすめできません。
本音を抑え込んでしまうと、人間関係を切ってしまうことはもちろんのこと、心身ともに疲弊しやすくなったり、感情が爆発してキレやすくなったりと、さまざまな影響が出やすくなります。
完璧主義である

人間関係をリセットしてしまう人は、完璧主義の傾向があります。
例えば、友達を傷つけるような発言をしてしまった場合に人間関係を切ったり、自分の欠点を見せるのは悪であることから関係を断ち切ったりするなど、極端な思考や行動に走りやすいです。
また完璧主義の人は、断定的に物事を考えがちなのも特徴!「こうあるべきである」「そうでなければならない」「そうに違いない」というように0か100で物事を考えてしまいます。
ライフスタイルの変化を機に関係を切る

人間関係リセット症候群の方の中には、ライフスタイルの変化をきっかけに関係を切る方も少なくありません。
例えば、進学や就職、転職、引っ越しなどをした場合、「もう関わらなくてもよいかな」という理由で関係を断ち切るそうです。
人によっては気持ちをリセットさせたいという動機から、人間関係をリセットしてしまいます。

気分で人間関係を切ってしまう

「気分で人間関係を切った」と聞くと、多くの方は疑問を抱くことでしょう。
しかし、実際に「なんとなく関係を切りたかった」「もういいかな」という理由で、人間関係をリセットする方は珍しくありません。
人によっては「断捨離をしているような気分になれる」「整理整頓したような感覚が味わえる」ということもあり、実際の真意は不明です。
何かしらの精神疾患を抱えている

人間関係リセット症候群の人の中には、何かしらの精神疾患を抱えている可能性もあります。
例えば、人から拒絶されることを極度に恐れる境界性パーソナリティー障害や突発的な行動に走ってしまうADHD、うつ病に伴う突然の人間関係の遮断などさまざまです。
このような精神疾患は、周りからの指摘がないと自力で気づくのが難しい場合もあります。
もし職場の同僚や家族、友達、恋人から心配されるようなことがあれば、1度メンタルクリニックや心療内科へ受診するのがおすすめです。
自分のメンタルの異常さに気が付いた際は、勇気を持ってカウンセラーに相談しましょう。
人間関係リセット症候群のデメリット

人間関係をリセットした方の中には、「人間関係のわずらわしさから解放された」「もう人間関係に悩まなくて済む」というように一安心していることでしょう。
しかし人間関係のリセットを繰り返してしまうと、今後の人との関わり方や人生の充実感、キャリアなどさまざまな影響が出てくる場合もあります。

逃げ癖が付きやすくなる

人間関係のリセットを繰り返してしまうと、ちょっとしたすれ違いや衝突、違和感などがあるとリセットしやすくなってしまいます。
その時だけ逃げてすっきりできますが、逃げ癖が身に付くと深い人間関係を構築するのが困難に。
実は簡単に解決できる事案であったにもかかわらず、人間関係をリセットしてしまうのはもったいないです。
ちょっとした衝突やすれ違いがあったとしても、お互いに向き合って話し合いをすることで深い人間関係が構築されやすくなります。
信頼できる人間関係が構築されにくい

信頼できる人がいるだけでも、楽しい時間を過ごせる機会が増えたり、お互いに知らなかった部分を知ったり、悩みを気軽に相談できたりと自分の人生でさまざまなメリットが得られます。
しかし人間不信が原因で人間関係をリセットし続けてしまうと、信頼できる人間関係を構築するのが難しいです。
信頼できる人間関係が構築されないと、孤独感を抱えやすくなったり、困った時に誰にも相談できなかったりと苦労する場面が増えやすくなります。
相手にマイナスな印象を与えてしまう

突然人間関係をリセットする行為は、相手に対して「自己中心的」「冷たい」「何を考えているのか分からない」とネガティブな印象を与えてしまいます。
「これっきりの関係だから、問題ないのでは?」と思った方もいることでしょう。
しかしすべて人間関係をリセットしたとしても、意外な場面で相手と再会することは珍しくありません。例えば学生時代に縁を切った友人と、偶然会社の取引先の商談で再会なんてことも・・・
あれっ、心?久しぶり。
こんなところで再会するとは・・・
ひっ、久しぶり。
電波郎君、知り合いかい?
そうなんですけど。実は・・・
相手によっては一方的に関係を切られたことに対し根に持っている方もおり、人柄の悪さが広まりやすくなったり、今後の仕事に影響が出たりするかもしれません。
自分が行った身勝手な行為が、意外な形で足を引っ張ることもあるので、人間関係を切りたい場合には、ていねいに対処することが望ましいです。
人間関係の修復が難しくなる

真っ向から衝突した場合、時間の経過とともにお互いに和解するチャンスがあります。しかし、一方的に関係を断ち切ってしまうと、関係修復は難しいでしょう。
罪悪感のあまりに、「相手に対してずうずうしいのではないか」「今更関係を修復するのは難しいのではないか」と思う方もいるかもしれません。
万が一衝突やすれ違いが起きたとしても、一度立ち止まり冷静に考えることが重要です。
孤立しやすくなる

親しい友人がいないまま孤立状態が続くと、将来的に孤立する可能性があります。
孤独感はタバコやお酒に匹敵するくらいの健康リスクがあると言われており、65歳以上の高齢者を対象にした健康調査でも、月に数回友人と会う方に比べて、まったく合わない人の方が不健康になりやすいという調査結果が明らかになりました。(※)
孤独感を感じてしまうと、寂しさのみならず、不安感や自己肯定感の低下、ネガティブ思考などのメンタルのみならず、睡眠の質の低下やストレスに伴う免疫力の低下や病気発症のリスクなど、心身ともに影響が出やすくなります。
老後も健康的に過ごすためには、人間関係を切らず交友関係を維持することが重要です。
※”日本生活習慣病予防協会 公式HP”参照
人間関係をリセットするメリット

人間関係リセット症候群は、悪いことばかりではありません。適度に人間関係をリセットすることで、よりよい人生を送れる可能性があります。

人間関係の新陳代謝が生まれる

人間関係は、細胞の新陳代謝と同じと言われています。
人間の体内は傷ついた細胞や古くなった細胞を切り捨て新たな細胞を生み出す仕組みを持っており、生命活動の維持に欠かせません。人間関係も同様に古い関係や傷ついた関係性を切り、新たな人間関係の構築で、よりよい人生を送りやすくなります。
たとえ学生時代から仲良くしていた友人であっても、卒業後は人との関わり方や仕事の取り組み方、物事に対する価値観や考え方などの変化で摩擦が生じれば、残念ながら友達関係の寿命かもしれません。
分かりやすい例だと、お互いの人生がうまくいっているか否かがイメージしやすいでしょう。
古い人間関係よりも新たな人間関係で人生が豊かになっている場合には、そちらを優先するのがおすすめです。
煩わしい人間関係から離れられる

もし面倒な人間関係があれば、思い切って「縁を切る」ということが大切です。居心地が悪いにもかかわらず、無理して関わろうとするとかえってストレスを感じやすくなります。
最初は孤独になることを恐れていたとしても、関係を切ればすっきりするかもしれません。
自由に過ごせる時間が増えれば、カフェでまったり過ごしたり、趣味に没頭できたりと、1人でも充実した時間を過ごせるようになります。
自分に合った人間関係が絞りやすくなる

繰り返し人間関係のリセットを行うことで、自分に合った友達を見つけられる可能性があります。
何人か人間関係を切ったものの、仲の良い友達や価値観が合う人だけ関係が続いているということはないでしょうか?
人間関係を切った結果、自分と価値観や考え方が合う方のみ交流関係を持てている場合には、うまく人間関係を整理できている可能性があり、今後の人生も豊かに過ごせることが期待できます。
人間関係リセット症候群の対策と付き合い方

人間関係のリセット癖が見についている方の中には、「良好な人間関係を作りたい」「人間関係を切って後悔した」と悩みを抱えていることでしょう。
とはいえ、いきなりリセット癖を治すのは難しいです。今後幸せな人生を送るためには、人間関係リセット症候群の対策や付き合い方を身に着けることが重要です。

自分の感情を整理し受け止める

人間関係のリセット癖のある人は、感情を押し殺している傾向にあります。
感情を押し殺し続けてしまうと、自分の気持ちが分からなくなったり、心の中でモヤモヤ感が残ってしまったり、時には感情が火山の噴火のごとく一気に爆発したりするなど。
どのようなシチュエーションであれ、感情を抑え込むのはメンタルの健康には、あまりよろしくありません。
相手から理不尽なことをされた場合には、「むかつく!」「悲しい!」というように、今抱いた感情を素直に出すことが重要です。
もし、自分の感情が分からない場合には、どのような感情を抱いたのか書き出すのがおすすめ!言語化することで、自分が抱いた感情が整理しやすくなります。
日ごろから自己開示の癖を付ける

人間関係のリセット症候群の改善には、自己開示が有効です。自分の思ったことや感じたことを常日頃から相手に伝える訓練を重ねることで、モヤモヤした気持ちが解消されやすくなります。
実際に大阪大学大学院人間科学研究科対人社会心理学研究室が行った研究論文(※)によると、自己開示をすることでストレス低減効果が認められたことが明らかになりました。
また、自己開示のメリットは相手も本音で話してくれるようになるところです。
心理学では「返報性の法則」とも呼ばれており、自分が与えた行為に対して相手も「お返しをしなければ」という気持ちを抱きやすくなります。
私、実は初対面の人に話すのが苦手で
そうなんだ。
実は、僕も何を話せばいいのか分からなくて緊張してたんだ。
えっ、意外~~。
明るそうな人だったから、そんな風には見えなかった
お互いに本音を語り合える関係になれば、感情を共有できたり、信頼関係が構築されたりと好循環が生まれやすくなります。
自分のペースで構いません。少しずつ、自分の本音を打ち明けましょう。
※“CiNii 公式HP”参照
嫌われる勇気を持とう

嫌われたくないという理由から、人間関係をリセットする行動に走ってしまう方もいることでしょう。
他人からの批判や否定は受け入れがたい部分でもあり、人によっては、かなり落ち込むかもしれません。
もう少し、○○の部分を治してほしいかな。
ごめんなさい。
(あっ、私嫌われたかも。もう人間関係をリセットしようかな)
しかし、他人から批判や否定などを受けたとしても気にする必要はありません。なぜなら、すべての人から好かれるのは不可能だからです。
どんなに好かれようとする行動や言動をしたとしても、「気に入らない」「嫌い」と思う方が一定数います。人の心は自然現象と同様に未知な部分があるので、コントロールするのは難しいです。
どうせ嫌われるぐらいなら、「嫌われても構わない」というスタンスで生きていた方が、楽になれるかもしれません。
ちなみに筆者自身は、「ディスりたきゃ!ディスれ!」というスタンスで毎日を生きています。
嫌われる勇気を持てば、すべての人間関係をリセットする必要はありません。
気の合わない人とは縁を切り、気の合う人と関係を続けるといったスタイルで生きるのが幸福な人生を生きる近道と言えます。
自分のペースを優先する

人間関係をリセットしてしまう方の中には、他人のペースに合わせすぎた結果、人間関係で疲れているかもしれません。
例えば、誘いを断れずに全て参加したり、LINEの返事は後回しにしたいけどすぐに返したりと、ペースを合わせすぎてしまうと疲弊しやすくなります。
人間関係で疲弊しないためには、自分の軸を持つことが重要です。もし誘いがあったとしても、「予定(自分の時間を過ごす予定)がある」という理由で断っても問題ありません。
親しい友人であれば、もう1度声をかけてきます。「断ったら二度と誘われない」と怯えず、自分のペースを優先しましょう。
人間関係をカスタマイズする

人間関係を極端にリセットするのではなく、親しい人とは付き合い、苦手な人は縁を切るというようにカスタマイズするのはいかがでしょうか?
付き合うべき人間を見極めて、人間関係を整理することで、人間関係での悩み事が減りやすくなります。
ポイントとしては、「居心地のよさ」!この人と一緒に過ごすと「居心地がよい」「ストレスに感じる」という軸を持てば、人間関係が整理しやすくなります。
人間関係リセット症候群の診断テストを受けてみる

人間関係リセット症候群の可能性があるかどうか、簡単に診断できるツールがあるそうです。無料で受けられるものもあり、簡単な入力で診断判定が出ます。
そのほかにも、ビックファイブやストレスチェック診断などからでも、人間関係リセット症候群の予備軍であるかどうかチェックすることが可能です。
例えばビッグファイブの中にある神経症的傾向が高い場合には、ストレス耐性の弱さから人間関係の断絶に走りやすいことが推測されます。
このような診断テストは、あくまでも参考の1つに過ぎません。答えが出たとしても鵜呑みにせず、指標の1つとして捉えておきましょう。
人間関係はリセットではなくカスタマイズしよう!

今回は、人間関係リセット症候群の特徴や対策、付き合い方などを紹介しました。人間関係リセット症候群と聞くと、悪いイメージを持たれるかもしれません。しかし、人間関係をリセットすることで、人生が豊かになる可能性もあります。
自分の人生をよりよくするためには、人間関係をリセットするのではなく、カスタマイズすることがポイントです。
馬が合わない人とは縁を切り、価値観が合う人や居心地がよい人とは良好な関係を作るというように人間関係をカスタマイズすることで、自分の人生がよりよくなります。
自分の心のものさしで付き合うべき人を見極めて、良好な人間関係を構築しましょう。
【執筆者】


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